6月25日~26日に日経が「米国へのフェンタニル密輸、日本経由か?中国組織が名古屋に拠点」と題する一連の記事を掲載し、大きな注目を集めました。これらの記事では、中国系組織が名古屋に法人「FRISKY株式会社」を登記し、2024年7月までフェンタニル原料の集配送や資金管理を指示していた疑いが報じられています。
フェンタニルとは、強力な合成オピオイド鎮痛剤で、主に医療現場で激しい痛みの管理に使用されます。モルヒネの50~100倍の効力を持ち、手術後の疼痛管理や末期疾患の緩和ケアなどに処方されることが一般的です。また、フェンタニルは医療用途以外で、違法薬物市場でヘロインや他の薬物に混ぜられ深刻なオピオイド危機の一因となっています。
アメリカのトランプ大統領は、フェンタニルの密輸と販売について、死刑も含む厳しい罰則を課すと主張し、メキシコの麻薬カルテルを「外国テロ組織」に指定するなど、軍事力の使用を含む強硬な取り締まりを提案するなど、この問題に向けた決意のほどが伺えます。
その様な状況の中、日経のスクープを受けてか、グラス駐日アメリカ大使が、6月26日にXにてフェンタニル密輸問題について見解を表明しました。
中国からのフェンタニルやその前駆体化学物質の密輸に中国共産党が関与しているという見解で、これを阻止するには国際的な取り組みが必要だと強調しました。また、日本との協力により日本経由での積み替えや流通を防ぎ、両国の地域社会と家族を守る必要があると述べました。
日本政府は否定していますが、この問題がアメリカとの関税交渉にも影響がでるのでは?との声も多数見られます。