6月1日より改正刑法が施行され、従来の「懲役」と「禁錮」が廃止され、新たに「拘禁刑」という刑罰に一本化されました。これは明治40年(1907年)の刑法制定以来、初めての刑罰の種類の変更となります。
主な変更点
1.懲役刑と禁錮の一本化
・従来、懲役は刑務作業が義務付けられ、禁錮は作業が任意でしたが、実際には禁錮受刑者の8割が自ら作業を希望するなど、両者の違いが実質的に薄れていました。そのため、両者を「拘禁刑」に統合し、刑務作業の義務を廃止しました。
・拘禁刑では、受刑者の特性(高齢者、障害者、依存症など)に合わせて、必要な作業や指導を柔軟に実施します。作業は「懲らしめ」ではなく、改善更生や社会復帰を目的としています。
2.構成と再発防止の重視
・改正の背景には、再犯罪率の上昇(2020年で49.1%)や受刑者の高齢化(2022年で70歳以上の受刑者が14%)があります。従来の懲役では作業時間が長すぎ、指導やリハビリに十分な時間割けない課題がありました。拘禁刑では、更生プログラム(薬物依存治療、対人スキル訓練、職業訓練など)や高齢者向けのリハビリを充実させ、再犯防止を目指します。
3.執行猶予制度の充実
・再度の執行猶予が可能な計の上限が、1年以下の懲役・禁錮から2年以下の拘禁刑に引き上げられ、柔軟な運用が可能になりました
この改正は、刑罰の目的を「懲らしめ」から「改善更生」にシフトさせる大きな転換点であり、受刑者の社会復帰を重視した日本の司法制度の進化を反映しています。しかし、人員不足や予算制約もあり、プログラムの質や量の確保が難しいという課題もあります。