6月22日、アメリカがイランの核施設を攻撃しました。中東情勢や世界情勢に重大な影響を及ぼす可能性が高いため、以下に今後の展開について予想されるシナリオを整理します。
1． イランの報復と中東の緊張緩和
・イランの対応：イラン外務省は米国の攻撃を「国際法違反」「外交の破壊」と強く非難し、報復の可能性を明言しています。イランは中東地域の米軍基地やイスラエルを標的にする可能性があります。具体的には、弾道ミサイルやドローン攻撃、ホルムズ海峡での船舶攻撃などが考えられます。
・ホルムズ海峡のリスク：イラン議会はホルムズ海峡封鎖を承認しましたが、実行には国家安全保障最高評議会の決定が必要です。封鎖や船舶への攻撃が発生した場合、世界のエネルギー供給（原油の約20％が通過）に深刻な影響を及ぼし、原油価格の高騰やグローバル経済の混乱が予想されます。
2． 国際社会の反応と外交の動き
・ロシア・中国の反発：ロシアと中国は米国の攻撃を「国際法違反」と非難し、外交的解決を求めています。イラン外相はロシアを訪問し、プーチン大統領と会談予定であり、反米軸での連携が強まる可能性があります。
・欧州の懸念：フランスのマクロン大統領は中東情勢の悪化を懸念し、サウジアラビアやオマーンとの協議を行っています。欧州諸国はエネルギー価格の高騰や難民流入のリスクを警戒しており、外交的仲介を試みる可能性がありますが、影響力は限定的です。
・国連・IAEAの反応：国際原子力機関（IAEA）は攻撃後の放射能漏れがないことを確認し、緊急会合を招集しています。核施設への攻撃は国際社会での批判が高まる可能性がありますが、安保理での実効的な決議は米露中の対立により難しいでしょう。
3． 日本への影響
・物価と生活コスト：エネルギー価格の上昇は、電気料金やガソリン代、食料品などの価格上昇を通じて家計を圧迫します。日本の消費者物価指数は上昇傾向にあり、更なるインフレとなる可能性があります。
・安全保障への影響：日本国内の米軍基地は、米国の対イラン作戦の後方支援拠点となる可能性があり、イランの報復対象として間接的に注目される可能性があります。
・台湾有事への影響：イラン核施設への攻撃は、米軍の中東への関与を深め、人的・物的リソースを中東に割く可能性を高めます。これは、米国のインド太平洋地域での軍事プレゼンスに影響を与えることが懸念され、万が一台湾有事が起きた場合の即応対応能力が制限される可能性があり、日本にとって重大な懸念です。